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検定前に購入させて頂きました。早く届いたのでとても助かりました。また機会がございましたら、購入させて頂きます。ありがとうございました。#13;
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「便利堂の絵葉書からみるうらおもて」展はじまりました!

開催記念イベント「絵葉書交換会」も! 参加お待ちしています!
会期:2022年2月13日(日)―2022年4月1日(金)@便利堂コロタイプギャラリー



みなさんこんにちは! この冬、京都には何度も雪が積もりました。まだまだ寒さは厳しいものの、日差しには少しずつですが春の気配が感じられます。そんな中、2022年ギャラリー展 第一期では「便利堂の絵葉書からみるうらおもて」展と題して、便利堂の「顔」ともいえる絵葉書を取り上げました。100年の時を感じさせない絵葉書は、一枚一枚がまるで時代を映す鏡のようです。展示を担当された清さんにお話しをお聞きしました。



―――うらおもてとは絵葉書ならではのタイトルです。
「近頃は年賀状を書かない人も増えていると聞きます。展示をするにあたり絵葉書について考えてみると、葉書と距離がある人たちは、そもそも葉書に表と裏があることを知っているのかな?と思ったんです。もしかすると絵が描いてある側を表と思うのかもしれませんよね。けれども絵葉書ができていく歴史を振り返れば、どちらが表面なのかがわかります。絵葉書というものの裏には長い歴史があるんですよ。」

―――それがこのタイトルの出発点なんですね。
「もうひとつ「一枚の紙にも裏表」ということわざがあります。これは世の中すべての物事には裏表があって、内実は複雑であることをたとえた言葉です。裏を見ることで表が違って見えることがあると思います。たとえば便利堂は「絵葉書の便利堂」と呼んでいただいていますが、そう呼ばれるに至る舞台裏が確かにあるんです。今回は「絵葉書ブームの背景」、「絵葉書の便利堂とその裏側」、「現代の絵葉書と裏側の人々」、この3つをテーマとして展示します。」


「時事漫画 非美術画葉書 第1~4輯」 鹿子木孟郎 明治38年発行
日露戦争をテーマにポンチ(風刺漫画)風に描いた絵はがき

―――絵葉書をいろんな角度から味わえそうです。内容について聞かせてください。
「昔、絵葉書には一大ブームがありました。1904(明治37)年の日露戦争で戦況を伝える絵葉書が発行されると人々はこぞって買い求めました。それは手に入れようとして命を落とした人もいるほどの熱狂的なブームだったそうです。絵葉書がメディアの役割を担っていたんですね。展示ではそんなブームの裏側にも迫ります。」

―――絵葉書ブームの裏と表、どちらも興味深いです。便利堂が絵葉書に乗り出したのもその頃でしょうか?
「絵葉書の歴史は便利堂の歴史でもあります。1887(明治20)年、首都が東京に移り、京都の力が変化していく時代において、それまで錫屋を営んでいた中村家の次男・弥二郎が何か新しいことを始めようと立ち上げたのが便利堂でした。当初、書店などを営んでいた便利堂ですが、絵葉書ブームが来る前、1902(明治35)年の段階で初めての絵葉書「帰雁来燕」を発売しています。今回展示していますがデザインがすばらしいんですよ。」


上:「帰雁来燕」 田中美風 明治35年 下:「絵はがき 不如帰」 明治37年

―――素敵ですね! これが100年以上も前のものとは信じられません。ここから絵葉書の便利堂として…?
「いえいえ、それはまだ先のお話しで、絵葉書第二弾を出すのはここから2年も後のことです。この頃、便利堂では初めての代替わりがありました。初代 弥二郎は東京で有楽社という出版社を立ち上げるため、便利堂を長男・中村弥左衛門に引き継ぎました。二代目となった弥左衛門は当初、絵葉書ではなく京都の風物の写真集などの出版を好んでやっていたようです。これは想像ですが、弥二郎に比べて弥左衛門は生真面目で慎重な人で、新しいものであった絵葉書ではなく、それまで続けていた書店や出版業を重視したのかもしれませんね。しかし、先に有楽社で絵葉書を成功させていた弥二郎の企画で、便利堂絵葉書第二弾となる『不如帰』を1904(明治37)年に共同で制作すると、手ごたえを感じたのか、その後多くの絵葉書を手掛けるようになり、翌明治38年にはコロタイプ工房を社内に開設し書店から絵葉書店へとシフトし始めます。」


「京名所百景」 明治38年~ 数百種類にわたる京都の名所写真がコロタイプされた当時のロングセラー絵はがき

―――ついにコロタイプが便利堂へやってきましたね。
「この移り変わりの時期は、振り返ってみると便利堂にとって非常に重要だったと思います。この時、弥左衛門が売り出した京都の名勝の写真が印刷された風景絵葉書「京名勝百景」は爆発的に売れました。それまでは弥二郎色が強い絵葉書が中心でしたが、ようやく弥左衛門が自分の形を見つけた。「絵葉書の便利堂」と呼ばれ始めたのは、この便利堂初めての代替わりのタイミングだったんです。」

―――絵葉書の向こうにドラマが浮かび上がってきますね。
「まさしく絵葉書ブームだったことがよくわかるのが、1905(明治38)年、大阪毎日新聞が一般の人に「絵を描いて応募してください」と呼びかけた絵葉書の懸賞です。いわゆるコンペティションは応募総数2308組という大盛況でした。便利堂では当選者のうち8名分の絵葉書を製作販売しましたが、これもまた爆発的に売れたそうです。また、当選作品を並べる陳列会では、便利堂主催で「絵葉書交換会」が催され人気を博しました。」


『明治の京都 てのひら逍遥 便利堂美術絵はがきことはじめ』
絵はがきの歴史や便利堂の当時の絵はがきを詳しく紹介。
監修/生田 誠 1200円(税別) ISBN978-4-89273-100-6
⇒ご購入はこちら

―――「絵葉書交換会」? 楽しそうな響きですね。
「システムはこうです。宛名は空白のまま絵葉書に手紙を書き、切手を貼って提出します。受け取った交換担当者が内容の合う2枚を選び出し、それぞれに宛名を書き込んで発送する。つまり参加者には、行ったこともない場所に暮らす、知らない誰かの言葉がつづられた絵葉書が届く…というわけです。ちなみに、当時絵葉書ブームが盛り上がるなかで、この交換会が全国各地で開催されましたが、日本で初めて「絵葉書交換会」を考案したのが、誰でもない有楽社を立ち上げた弥二郎でした!」

―――さすが弥二郎さん、アイデアマンですね! 絵葉書をめいっぱい楽しんでもらいたいという気持ちが伺えます。
「実は今回の展示を記念して、便利堂ではこの「絵葉書交換会」を行います! ギャラリーをごらんいただき、本店へお越しいただいた方にはお好きな絵葉書を一枚プレゼント。交換会へご参加いただけば、お手元には見知らぬ誰かからの絵葉書が届きます。「絵葉書の便利堂」での時間を心ゆくまでお楽しみいただきたいですね。」


明治時代の絵はがきを復刻した3種
左上:「舞姿」 今尾景年、鈴木松年、竹内栖鳳、山元春挙 明治38年 (下:復刻 4枚組セット 500円(税別)⇒ご購入はこちら
左下:「ベースボール」 佐々木望 明治38年 (下:復刻 4枚組セット 1,143円(税別)⇒ご購入はこちら
右:復刻版 京名所百景 (便利堂本店でのみ販売)

―――見ず知らずの人と繋がる時代、絵葉書を通じてというところが新鮮ですね。みなさまぜひご参加ください! そういえば便利堂の絵葉書には他にはない厚みがありますね。
「これは、便利堂が絵葉書の図版自体を「図録」として考えているからなんです。写真の色や質感にもこだわりぬいた、図録にも負けないくらいの品質なんですよ。」

―――だからこそ、昔も今も「絵葉書の」とお声がけいただくんですね。
「さらに便利堂ではカラーコロタイプの絵葉書も制作しています。絵葉書を企画する人間だけではなく、職人もまた、どこにも負けない絵葉書を作ろうとしています。一枚の絵葉書にはいろんな人の思いや熱意がぎゅっと詰め込まれているんです。」


明治・大正頃の作品を中心にしたコロタイプ絵はがき「季趣五題シリーズ」(1枚 350円(税別)⇒ご購入はこちら

―――絵葉書の裏と表はどちらから見ても面白いものですね。知らないことばかりでした。
「今回の展示を通して、絵葉書にはいろんな歴史があること、そして今もなお、たくさんの人が関わって作っていることを知っていただけたらいいなと思います。それを知った上で絵葉書を見てみればきっと今までとは違う見え方がするんじゃないでしょうか。ご覧いただいた方に、絵葉書を誰かのために選んで送ってみようかな、という気持ちになってもらえたらうれしいですね。」


⇒便利堂の絵はがきに関する過去記事はこちら



便利堂の絵葉書からみる「うらおもて」展
会期:2022年2月13日(日)~2022年4月1日(金)
時間:10:00-17:00 休廊日:土日祝日 ・全日12:00-13:00
※2/13(日)2/19(土) 2/20(日) Design Week Kyoto 2022参加のためOPEN
入場:無料
会場:便利堂コロタイプギャラリー(京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町 302


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便利堂の展覧会図録制作の原点がここに!
2021年12月20日(月)―2022年2月4日(金)@便利堂コロタイプギャラリー



みなさんこんにちは!2021年も残すところあと一週間たらずとなりました。すっかり寒くなりましたがお元気にお過ごしでしょうか? さて、便利堂コロタイプギャラリーでは先週より新しい展示が始まりました。その名も「髙島屋美術部によるコロタイプ図録100冊」。わずか20文字のタイトルの中に興味をそそられる単語がいくつも並んでいます。本年は、髙島屋創業190周年、美術部開設110周年にあたり、それを記念して本展が企画されました。展示を担当された清さんにお話しをお聞きしました。



―――こちらはあの百貨店の髙島屋さんですか?
「その通りです。天保2(1831)年に京都で創業した髙島屋は、明治44(1911)年に美術部を開設されました。翌年には「尾竹竹坡百幅画会」が開催され、髙島屋美術部としての図録第1号『竹坡百画集』を刊行されます。これを便利堂が制作したんですよ。」

―――知りませんでした。そのころの便利堂は絵はがきが中心でしたよね?
「そうですね。便利堂では創業より書店として出版物を手掛けてきましたが、日露戦争を機に国内で絵はがきブームが起こると書店から絵はがき店へとシフトし、それにあわせて明治38(1905)年にはコロタイプ工房を設立しました。しかしこの頃はコロタイプを使った絵はがきが中心でした。ですから本格的なコロタイプ美術図録としては、この髙島屋美術部から依頼をいただいた図録シリーズがほぼ最初ということになります。」


髙島屋美術部の図録第1号『竹坡百画集』(明治45年2月11日発行)

―――どんなご縁で髙島屋さんはお声がけくださったのでしょう?
「髙島屋の美術部設立に尽力された髙島屋常務 田中信吉さんという方がいらっしゃいます。そのお兄さんと、便利堂の二代目 中村弥左衛門が中学時代の友人だったそうですよ。髙島屋では展覧会のたびに便利堂で図録を制作され、図録第1号の『竹坡百画集』以降、昭和4年までの間に約100冊にものぼる図録を便利堂が担当させていただきました。今回はその中から41冊をご紹介していますが、どれも趣向を凝らしたものばかりなんです。」

ダイワ ミスタースリム タンケイ 60W
(上段左より)『百桜画集』『瀑布百景』『桜百趣』『紅葉百趣』/
『菊百題』『双幅帖』『画絶』『掃心図画』/『不盡山画集』『成園画集』『関雪先生癸亥画集』『米寿墨戯』


―――髙島屋さんが趣向を凝らすとなると、相当贅沢な作りだったことがうかがえます。
「図録第1号は帙入の和本、2号の『百桜画集』は洋本の体裁で、それ以降も大和綴や枚葉(まいよう)の帙入(ちついり)など、仕様やサイズはバラエティに富んでいます。田中信吉さんは「便利堂の前の社長は兄の中学時代友達でして商売をはなれて骨を折って作ってくれました」とおっしゃっています。きっといい関係だったんでしょうね。髙島屋からその図録を各地のお得意様へ送ると、遠方からも「この絵がほしい」と注文が来たそうです。こうした反応があったからこそ、100冊もの図録を作ることができたんだと思います。」



―――ずらりと図録が並んだ様子は壮観ですね! どれも上質なのがよくわかります。当時、これを手にされた方はきっとわくわくされたでしょうね。中を見てもいいですか?
「ぜひ手に取ってごらんください。コロタイプは100年印刷といわれる耐久性にすぐれた印刷技術です。そのため表紙の紙の変色などはあるものの、図録に納められた書や絵画は当時のまま瑞々しい姿をとどめています。ごらんいただくと、紙やサイズ、和綴じの仕立て、手触りなど、こだわりぬいて作られていることがおわかりいただけるはずです。」

―――髙島屋さんとのお仕事は、便利堂が大切にしている技術のひとつ「本づくり」の礎だったんですね。
「美術印刷、美術書制作の便利堂が確立されるきっかけは髙島屋さんからいただき、このシリーズによって育ったと言ってよいかもしれません。明治から昭和まで、髙島屋美術部の図録は便利堂が一手に引き受けていました。その間、便利堂にしかできないことを追求し、その後は次第に美術館や博物館の図録制作へとシフトしていきます。今回の展示では図録とともに様々な資料を通してその歩みをぜひご覧いただきたいですね。」


髙島屋と便利堂、ともゆかりの深い富岡鉄斎(肉筆)と竹内栖鳳(木版)の作品も展示

―――美術がお好きな方はもちろん、古書にご興味をお持ちの方など、この展示はいろんな角度から楽しむことができそうです。最後にブログを読んでいただいているみなさまへメッセージをお願いいたします。
「髙島屋では美術部開設以来20年弱の期間に、便利堂のほか、他社と制作したものもあわせると150冊近い図録を刊行され続けました。いったいどれほどの熱意をこの取り組みに注がれてきたかが数字から伝わってきます。当時の髙島屋は若いころの竹内栖鳳が意匠部に勤務するほか、富岡鉄斎を鑑賞家へ広く紹介するなど京都の画家たちにとってのいわばパトロン的立場にあったそうです。一方で便利堂でも出版する雑誌の表紙絵で、鉄斎や栖鳳と関わりをもっています。そうした背景をふまえて展示をご覧いただくとよりお楽しみいただけるかもしれません。髙島屋は今年、創業190周年、美術部は開設から110周年を迎えられました。今回はその歩みをご紹介するとともに、美術図録の便利堂が確立されるまでの道のりもお伝えできる展示になっています。たずさわる人々の美術を大切に思う気持ちが形となった「美術図録」をぜひお楽しみください。」


明治44年に便利堂が制作した《勅題松上鶴百名家絵葉書》も展示します

―――年内は明日28日まで、年明けは5日から開廊しています。ぜひ皆様のお越しをお待ちしています。


髙島屋美術開設110周年記念
「髙島屋美術部によるコロタイプ図録100冊」展
会期:2021年12月20日(月)―2022年2月4日(金)
時間:10時-17時
休廊:土日祝日・12/29-1/4・全日12:00-13:00はお休みいたします。
会場:便利堂コロタイプギャラリー
協力:髙島屋資料館


両カツラ根付紐(金)50本☆Net   全長約7.5cm (坪 約3.7cm)   *手作りのため、商品により若干異なります。

ギャラリースペースも広くなりました!
2021年10月1日(金)~11月19日(金)@便利堂コロタイプギャラリー




みなさんこんにちは。ようやく秋めいて朝晩は過ごしやすくなってきましたね。そんな中、コロタイプギャラリーでは新しい展示がスタートしました。本日は2021年秋季企画展示 審光写場開設80周年記念「佐藤浜次郎 ハール・フェレンツ二人展」をご紹介します。展示を担当した清さんに見どころをお聞きしました。




―――今回、コロタイプギャラリーに大きな変化がありましたね。
「そうなんです。実は、ギャラリーのスペースがより広がりました。今回は二人展ですが、部屋が二つになったことで、ハール・フェレンツパートと佐藤浜次郎パートに分け、お二人の作品をじっくりご覧いただけるよう展示しています。」


ギャラリーの壁に新たな入り口が。。


―――では、まずハール・フェレンツさんをご紹介いただけますか。


Francis Haar, 1908-97 ©Tom Haar 不許複製

「ハンガリー出身のハール・フェレンツさん(英語名:フランシス・ハール)は戦前に来日し、日本の文化や風景を撮影してきた写真家、映画監督です。明治41(1908)年にハンガリーの小さな町で生まれた彼は、ブタペストでインテリアと建築デザインを学び建築事務所で働き始めましたが、若手芸術家たちとの交流をきっかけにカメラに興味を持ち、独学で撮影を始めます。その後ハンガリーで写真家として成功したのちパリへと移り住みました。しかし昭和14(1939)年末、第二次大戦によってパリを離れることを考えた彼は、以前ポートレートを撮影した日本人 川添浩史氏の助けにより日本へやってきます。ハールさんはとりわけ日本の風景と文化を気に入り、ポートレートを撮りつつ、風景写真や日本の風俗、歌舞伎や舞妓などを数多く撮影し、何冊かの作品集を出版しました。便利堂ではそのうち2冊を制作しています。」



便利堂が制作したコロタイプ写真集、『ハンガリヤ』(1941)と『富士山麓』(1942)
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―――そのように便利堂との関係が築かれたのですね。一方の佐藤浜次郎さんはどんな方でしょう?


佐藤浜次郎, 1894-1950

「佐藤浜次郎は便利堂の写真工房の礎を築いた非常に重要な人物です。彼は日本の文化財写真史に残る昭和10(1935)年の法隆寺金堂壁画原寸大撮影をはじめ、文化財撮影の第一線で活躍した撮影技師です。」


―――浜次郎さんはどのような経緯で便利堂へ来られたのですか?
「彼は明治27(1894)年に横浜に生まれました。11歳で父と死に別れると東京の辻本写真工藝社に丁稚奉公に出ます。辻本写真工藝社は写真印刷製版の名門で、ここで原色版(網目銅板凸版印刷)の写真撮影技術を身に付けます。その手腕は群を抜き、17、8歳頃には、原色版用撮影ではほかの3倍もの仕事をしたといいます。便利堂は、辻本写真工藝社がグラビア印刷へシフトしたことを機に、原色版工房の印刷設備、工員を移譲、いまでいうM&Aを行って、コロタイプと並んで原色版の工房を開設しました。浜次郎さんは、ほかの工員を引き連れ京都に移ってくることになったのです。そうした確かな技術を持った人たちが便利堂にやってきたことにより、便利堂の写真技術は大きく飛躍し、原色版は便利堂の代名詞ともなりました。」



審光写場(応接室) ©Tom Haar 不許複製

―――お二人にどんどん興味がわいてきました。さて、今回は「審光写場開設80周年」を記念しての展示です。「審光写場」とは何ですか?
「昭和16(1941)年秋、ハールさんと浜次郎さんをカメラマンとして迎え、便利堂が銀座に開設した写真スタジオです。ポートレートから文化財写真まで幅広く手掛けたものの、太平洋戦争による東京の空襲でスタジオは焼失してしまいました。戦争によって2年半と短命ではありましたが、明治から始まった文化財写真と芸術写真が、世界と日本が融合したとてもユニークな試みでした。また、来日中だったデザイナー、シャルロット・ぺリアンによる内装もすてきでした。建物の設計は坂倉準三です。」


審光写場(スタジオ) ©Tom Haar 不許複製

―――二人がともに過ごした場所なんですね。ただ、撮影対象はまったく違うようです。
「「カメラ」という同じ機械を手にしながら二人の写真テーマは全く異なります。ハールさんは彼の心に留まった主観が入った写真、一方で浜次郎さんはいわゆる記録写真ですから非常に客観的な撮影です。今回の展示では、浜次郎さんとハールさんというカメラを愛する二人がそれぞれどんな思いでレンズをのぞいたのか、ぜひみなさんにご覧いただきたいです。」



左より、コロタイプ:精進湖より富士を望む(1940), 皇居二重橋(1940-50), 法隆寺夢殿にて(1940-50)

―――ではまずハールさんの展示について教えてください。
「今回の展示では昭和25(1950)年に刊行されたポートフォリオ『PICTORIAL JAPAN』からプリント作品を10点、さらに本展に合わせ新たにコロタイプでプリントした2点の作品を展示し、彼の日本での活動を紹介します。ハールさんは日本に滞在した20年の間で、日本文化を世界に紹介する写真や映画を制作しました。戦前から戦後の日本を記録してきたハンガリー生まれの写真家がどんな目線で日本を見ていたのか。彼の目を通して、日本の伝統と文化のエスプリをこの展示で感じていただけるのではないかと思います。ぜひ多くの方にこんな写真家がいたことを知っていただきたいですね。」



左より、ことも祭り(1949), コロタイプ:繭玉の収穫、 富士山麓にて(1950), 勧進帳(1940-50)

―――今回の展示では、ハールさんの書籍も販売されるんですね。
「そうなんです。写真集『A Life time of Images』はハンガリー、パリ、日本、シカゴ、ホノルルと各地で撮影した写真作品とハールさんの言葉で綴られた回想録が収められた彼の集大成ともいえる一冊です。今回、二人展を記念して『A Life time of Images』を部数限定で発売します。また『人生は映像とともに』(監修:トム・ハール)は収録されている回想録を訳出したものです。彼自身が語る数奇ともいえる人生と、日本を「記録」したその想いをお楽しみください。あとがきでは、彼の来日した背景や審光写場について詳しく解説しています。」



1,500円(税込・送料無料)
目次: はじめに / ハンガリー, 1908-1937 / パリ, 1937-1939 / 日本, 1940-1960 / シカゴ, 1956-1959 / ハワイ, 1960-1997 / 付録 / 父のこと トム・ハール / あとがき:ハール来日の背景について( 1. “地球人” 川添浩史、2. 1930年代,パリの日本人たち、3. 「日本映画祭」の開催とフィルム・エリオス社の設立,そして帰国、4.1930年代の国際文化交流:国際文化振興会とKBSフォトライブラリー、5. ツラニズムと三井高陽の日洪文化協会、6. 仲小路彰と小島威彦:世界創造社とスメラ学塾、7. 1940年のスメラクラブの誕生とスメル写真研究所、8. ぺリアンの来日と,ハールの活動の拠点「審光写場」の開設、9. おわりに:戦後のハールと川添の文化交流活動)


―――ぜひ読んでみたいです。それでは浜次郎さんの展示についても聞かせてください。
「便利堂の写真工房は、明治の開設以来、文化財の写真撮影を専門にしています。写真工房では「文化財をありのまま記録する」という系譜が現在までずっと引き継がれてきました。そうした意味で、浜次郎さんは、明治大正と積み重ねてきた便利堂写真工房を大成させた、便利堂はもちろんですが、日本の文化財撮影史にその名を遺す人です。今回の展示では彼が便利堂において成し遂げた偉大な功績からいくつかをご紹介します。」



新しい入り口のその先には。。。旧印刷工房跡地をDIYしたギャラリースペースが出現!

―――浜次郎さんの代表的な仕事にはどんなものがありますか?
「彼が取り組んだ大仕事といえば、昭和10(1935)年の法隆寺金堂壁画原寸大撮影でしょう。彼は人生で3度、法隆寺金堂壁画を撮影しており、3度目がこの撮影でした。国の事業が便利堂に委託された理由として、便利堂の撮影技術を評価していただいたことはもちろんですが、浜次郎さんが法隆寺金堂壁画の撮影をすでに2回経験していたことも大きかったと思います。」

⇒法隆寺金堂壁画の原寸大撮影についてくわしくはこちら



当麻曼荼羅撮影中の佐藤浜次郎(左)と、視察に訪れた便利堂四代目中村竹四郎(昭和14年)

―――浜次郎さんへの信頼がうかがえますね。
「この撮影を成功させたことで、文化財撮影において便利堂と撮影技師 佐藤浜次郎の名はより広く知られるようになりました。ちょうどその頃、今では当たり前になった文化財の保存科学分野に力を入れる動きが活発になります。つまり、精密な写真撮影を行って現状を記録し、それを今後の文化財保存や研究に役立てようというものです。その中で法隆寺金堂壁画に次いで調査対象となったのが奈良県にある當麻寺の當麻曼荼羅でした。当時、国華社主幹であった瀧精一博士の依頼で、浜次郎さんは昭和14(1939)年5月に《国宝 當麻曼荼羅図》の原寸大撮影を行いました。今回は、俯瞰による撮影で、法隆寺と同様に特殊なカメラを制作し撮影に臨みました。5月22日の機材搬入から6月1日の撤収まで、11日間を要しました。」



かつて原色版印刷工房があった空間が、広々としたギャラリースペースとしてよみがえりました。

―――恥ずかしながら便利堂が當麻曼荼羅を撮影したことを知りませんでした。
「実は、撮影当時は話題になったものの、あまり注目されることがありませんでした。しかし昭和38(1963)年に當麻曼荼羅は国宝に指定されます。それに際して、当時の撮影乾板を使い120枚ものコロタイププリントが制作されました。今回の展示では法隆寺金堂壁画をはじめとする代表作とともに、近年では忘れられた「もうひとつの原寸大撮影」である《国宝 當麻曼荼羅図》にスポットをあてます。」



壁面の法隆寺金堂壁画複製とともに、ギャラリースペースの中央には、120枚に分割撮影・印刷されたコロタイププリントをつなげて当麻曼荼羅全図の複製を展示しています。踏み台から少し俯瞰で全体をご覧いただけます。


「この当麻曼荼羅の原寸大撮影については、機会を改めてこのブログで詳細に紹介したいと思っています。」



近づいてご覧いただくと、細かいつづれ織りのディテールが確認できます。

―――浜次郎さんパートでは貴重な文化財写真、ハールさんパートでは彼が日本の土地や文化へ向けたまなざしとどちらも見ごたえがありそうです。これから展示をご覧になるみなさまへ一言お願いします。
「写真家ハールさんの目に映った戦前から戦後の日本はどんな場所だったのか、当時の写真家と撮影技師の仕事を対比して見ていただいても面白いと思います。二人とも写真を仕事に同じ時代を生きたわけですが、これだけ違う仕事をしていたのかというところも面白いですよね。また佐藤浜次郎という人が文化財の撮影においていかに偉大な業績を残してきたか、その仕事をご覧になりながら自由に思いを巡らせていただけるとうれしいです。一言で写真といってもまったく違う、でもどちらも重要だということがきっとお伝えできるのではないでしょうか。」







【開催概要】
便利堂コロタイプギャラリー秋季展 
審光写場開設80周年記念 「佐藤浜次郎 ハール・フェレンツ 二人展」
2021年10月1日(金)~11月19日(金)
時間:10:00-17:00(全日12:00~13:00と水曜日はお休み)
入場:無料
場所:便利堂本社1Fコロタイプギャラリー
(京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町 302)


ハールの写真集や映像作品(『天皇』『Arts of Japan』『Japanese Calligraphy』)もご自由に閲覧していただけます。




コロタイプギャラリー通常展示「便利堂コロタイプの現在地」本日より開催

国宝に新指定の「蒙古襲来絵詞」の複製も展示!
2021年7月26日(月)~9月3日(金)@便利堂コロタイプギャラリー




みなさんこんにちは。お待たせしました。コロタイプギャラリーでは本日より新しい展示がスタートしました! 今回は「コロタイプの現在地」と題して、便利堂のコロタイプがたどってきた道をじっくりとご紹介いたします。展示を担当した清さんに見どころをお聞きしました。





―――便利堂は今年の7月で創立135年を迎えました。コロタイプの工房を構えてからはどのくらいになりますか?
1905(明治38)年に開設したので116年目になります。そもそもコロタイプは19世紀中ごろにフランスで生まれ、ドイツで確立された写真の古典印画技法のひとつです。その後、精緻な印刷技法として普及しますが、他の技術の台頭とともに姿を消していきました。そうした中で便利堂はコロタイプの特徴を活かして今に至ります。ただ、当時の技術をそのまま使い続けているかというとそうではありません。116年の間にはいくつもの大きな進化や変化がありました。



平台印刷機が並ぶ工房(昭和2年)


―――それはどんな変化でしょう?
大きなところでいうと「動力印刷機の導入」「コロタイプのカラー化」「デジタルへの取り組み」「環境への配慮」、この4つです。振り返ってわかったのは、便利堂は時代の流れを見て、いろんなことにチャレンジしてきたということでした。しかし、どれ一つとして簡単なものはなかったでしょう。日々の実験を繰り返し、技術を時代にあった形に進化させようとする人々の努力なくしては取り入れられなかったはずです。今回の展示では便利堂のコロタイプがどのように変化してきたのかをわかりやすくご紹介したいと思います。



円圧式動力機が並ぶ現在の工房


動力印刷機の導入

―――円圧式の「動力印刷機」はギャラリーからもその姿をご覧いただけますね。
ずらりと並んだ様子は圧巻です。ぜひ、動いているところをご覧いただきたいですね。ただ、この動力印刷機は初めから使用されていたわけではありません。明治期に使われていたのは「手刷り平台印刷機」でした。版にインキを入れ、紙をセットし、プレスする。印刷の工程すべてを人の手でおこなう、アナログのプリント方法です。1936(昭和11)年には《法隆寺金堂壁画》の原寸大複製がこの印刷機で制作されました。このプリントのもとになった写真原板は平成27年に国の重要文化財に指定されました。現在、便利堂が所蔵する原板の一部が京都国立博物館で開催されている「京の国宝」展で展示されています。



昭和12年頃(1937)、特設工房(於 大雲院)にて法隆寺金堂壁画原寸大複製の作業風景


―――平台印刷機はいわば原点ですね。そこから動力機への変化は大きかったでしょうね。
そうですね。しかしすべてを一気に入れ替えたわけではなく、しばらくは平台と動力機を平行して使用していました。当時はコロタイプが全盛期でしたから、動力機を作る工場もたくさんあったと思います。昭和30年以降には動力機がメインの印刷機になりました。1995(平成7)年に導入された大判コロタイプ印刷機「Dax」では24×48インチサイズを刷ることができます。工房がスタートした頃からすると、印刷はスピードも精度も大きな進化を遂げてきました。



展示1:《法隆寺金堂壁画》原寸大コロタイプ複製(6号壁部分 釈迦如来〔左〕、勢至菩薩〔左〕)、1938年制作


コロタイプのカラー化

―――「コロタイプのカラー化」の研究も進んでいたのでしょうか?
コロタイプにはほかの技法にはない再現性や耐久性があり、便利堂ではそれを存分に活かして美術品のプリントをしていました。しかし、コロタイプは基本的に1色でしか刷れません。原本を精巧に再現する複製を制作するためには、コロタイプによるカラー表現の実現は必須でした。その研究が始まったのは昭和30年以降のことです。



展示2:《蒙古襲来絵詞》コロタイプ複製、1994年制作


―――どうやってカラーでの表現ができるようになったんですか?
1色ずつ重ね刷りする木版画を思い浮かべてください。このやり方を参考に、撮影した写真から、色ごとに分解した版を作り、原本の色彩に合わせて調合したインキを1色1色刷り重ねてひとつの絵をプリントしていきます。職人による勘と経験が必要な作業ですが、長い研究期間を経てようやく実用化に至りました。初めて複製で実用化されたのは1966(昭和41)年、《女史箴図巻》(原本 大英博物館蔵)の原寸大完全複製です。この「多色刷コロタイプ」は、現在商業ベースでは世界中で便利堂にしかできない独自の技術です。今回は、先日今年度の国宝新指定に答申がなされた《蒙古襲来絵詞》(原本 宮内庁三の丸尚蔵館)のコロタイプ複製を展示します。作品をご覧いただくとき、「もしこれがモノクロだったら」と想像してみてください。きっと印象はまったく異なるはずです。そう考えると当時、コロタイプのカラー化がどれだけすごい技術開発だったかおわかりいただけると思います。


デジタルへの取り組みと環境への配慮

―――そうするうちに、今度はデジタルの波が押し寄せてきます。
2000年頃からコロタイプでもデジタル技術の導入の取り組みが始まりました。コロタイプの技術はもともとすべての工程が職人の手による、いわばアナログの極みとも呼べるようなものでしたが、一方でデジタル技術でしか実現できない優れた点もたくさんありますよね。アナログとデジタルはどちらも便利堂の未来にとって不可欠なものです。どちらもお互いの不足したところを補いあうものととらえて、時代とともに進んでいく必要性を感じています。



展示3:Stephen Gill 《Night Procession》 HARIBAN AWARD 2017最終優秀賞受賞作品(コロタイプ多色刷)、2017年制作


展示1,2はアナログでのコロタイププリントですが、展示3と4はデジタルでのコロタイププリントですね。
―――繊細なアナログレタッチ(製版)による職人技をどのようにデジタル作業に置き換えるのか、便利堂は4半世紀にわたって研究を進めてきました。その間、世の中のデジタル化の流れの中で供給される最前線のデジタルエクイップメントを取り入れながら便利堂コロタイプのデジタル化の方程式を模索してきました。そしてひとつの完成形として自負しているのが、現在の方式です。製版はこのデジタル方式ですが、プリントの工程自体は160年前と変わらない職人のアナログ技術です。「古くて新しい」この表現力は、世界中のアーティストからも注目されています。今回は展示3として、弊社が主催している写真コンペティション「ハリバンアワード」の2017年最優秀賞受賞者、スティーブン・ギル氏の写真作品を展示しています。



展示4:魯山人書簡《仏手柑》コロタイプ復元複製(右)、2021制作


展示4は、魯山人の作品ですが、原本と複製が並べて展示されています。
―――デジタルとアナログの良さは別物であり、補い合うものと考えていますが、やはりデジタルがアナログを凌駕する部分の一つが機械的な画像処理の部分です。今年の春の展示では、デジタル画像処理で原寸大に複製した《高松塚古墳壁画》が展示されましたが(くわしくはこちら)、今回はデジタル画像処理によって原本の再現複製を試みたサンプルを展示しました。左側の表装されている方が原本ですが、ご覧のとおり長年の展示によって退色してしまっています。これを本来の色彩に再現したのが右の複製です。





―――新しいものの良いところを見極め、恐れずに取り入れる姿勢が今の便利堂をつくったのかもしれません。この魯山人の複製は、近年取り組んでいる環境に配慮した無害薬品のレシピによってでも作られているそうですね。
これまでコロタイプの刷版をご覧になったことがある方は、黄色い色が印象に残っているかもしれません。それは感光材の「重クロム酸塩」という薬品によるものでしたが、環境への負荷がある物質でした。そこで弊社が近年研究を進め独自開発を行ってきたのが、環境に優しい「DAS Photosensitizer(DAS感光材)」です。このレシピで作った板は透明なんです。便利堂は現在、「便利堂エコプロジェクト」を立ち上げ、地球環境と事業活動の調和を目指し、商品の開発・生産・販売を通じて、環境負荷の低減および環境保護のための様々な活動を積極的に推進しています。コロタイプにおいてもこの観点で課題に取り組んでおり、その一つが無害な薬品への転換です。





―――DASの開発には大変な苦労があったと聞きました。
そうですね。2012(平成24)年から研究が始まり、近年ようやく実用に至りました。何度も実験を繰り返したと聞いています。しかし、DAS感光材が開発されたことで、この技術を未来へつなげていくことができるようになりました。しかも、安心安全な感光材を使うことで、一般の方に気軽にコロタイプをお楽しみいただくこともでき、近日中に弊社のウェブ上でDASレシピのコロタイプの家庭用キットを発売する予定です。これもまた、時代に合わせた進化であり変化だと思います。現在、コロタイプ制作物をこのレシピにシフトしており、現時点で8割以上をDAS使用した版で制作しています。




―――伝統や技術を守ること、それと同じくらい進化も大切だとよくわかりました。
また、ギャラリーの一角では、コロタイプ研究所所長 山本 修による、コロタイプの制作過程がじっくりご覧いただける影像をご用意しています。長い歴史の中で、変化を恐れず進化しつづけ、確かな技術を確立し、次の世代へと継承する。もしどれかひとつでも欠けていたらコロタイプの技術はもちろん、今の便利堂はなかったかもしれません。未来へ伝える技術は日々、更新されています。便利堂の挑戦をぜひごらんいただき、コロタイプの現在地をわたしたちと一緒に確かめていただければうれしいです。


【開催概要】
便利堂コロタイプギャラリー「コロタイプの現在地」展
2021年7月26日(月)~9月3日(金)
時間:10:00-17:00(平日12:00-13:00、土日祝日はお休み)
入場:無料
場所:便利堂コロタイプギャラリー
(京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町 302)


恒例「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展2021 本日より開催!

第9回! 今年も力作がそろいました!
2021年6月22日(火)~7月9日(金)@便利堂コロタイプギャラリー




皆さんこんにちは。毎年6月下旬より開催している「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展を今年も開催いたします! 便利堂では社員自らが作品を作り、プリントの難しさや技術を体験し、学べる社員向けワークショップイベントを年に1回行っています。さて、今回の見どころはどんなところでしょうか? 展示を担当した清さんにお聞きしました。





―――「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展、今年は9回目となりました。
「早いですね。そもそも社員向けワークショップは、コロタイプ技術の魅力をより多くの人に知ってもらうため、まずは社員自らがコロタイプの魅力を知ろう!という思いから始まりました。単に技術の知識を持つのではなく、ワークショップでコロタイプを実践することで印刷の難しさや技師の技術力が実感としてわかります。さらに自分で満足できる作品を刷り上げたときの高揚感も体験できます。体験していると、コロタイプの話をするときにも力が入ります。そんなわけで社員それぞれが撮影した写真を持ち寄り、年に1回社内でコロタイプワークショップを行い、毎年創立記念日の7月1日頃に展覧会を開催しています。」

―――去年に続き、今年も開催が危ぶまれました。
「そうですね。前回を振り返ると、コロナ禍でどうすべきか運営チームで何度も話し合ったうえで開催することができました。みんなで同じ機材やローラーを使うこともあって非常に慎重になりましたが、社員のみんなにとってこれほど楽しみな行事はほかにありませんよね。社員ワークショップは研究所所長の山本さんをはじめ、技師のみなさんの協力で成り立っていますが、みんなが喜んでくれるのがうれしいからやろう!という山本さんたちの気持ちがとても強かった。だから感染予防を徹底したうえで去年は開催できたし、去年できたことでやり方がわかったので今年もできました。」





―――安全を十分確保した上で開催されたことがよくわかりました。
「1度のワークショップに参加者は3名までと決め、マスクをしたうえで換気も行い、十分に対策を行いました。そうした中でも参加者のみんなは久しぶりの手を動かす時間を楽しめたようで見ていてほっとしました。一人でじっくりプリントすることは特別な時間だったのではないかと思います。きっとコロタイプの仕組みの理解も深まったのではないでしょうか。」

―――ギャラリーにお越しくださる方にはどんなふうにご覧いただきたいですか。
「そもそもコロタイププリントは、160年前にフランスで写真をたくさんプリントするために生まれた技術です。それまでは写真をたくさんプリントできず、なんとかしたいと生まれたのがコロタイプなんですね。便利堂ではそれを応用して多色刷りを開発し、精緻な表現力から文化財の複製や、作家の作品作りなどに用いています。でも、こうした話をコロタイプをあまり知らない人が聞いても「へーそういうものなんですね。大変なんですね…」ってちょっとかしこまってしまうんじゃないかと思います。しかし、この社員展の作品たちはコロタイプ本来の形、一つの版で一つのプリントを作るオリジナルにとても近いやり方でプリントされています。一番純粋なコロタイププリントと言っていいかもしれません。工房にいる技師と違い、コロタイプに関しては素人同然の人たちがこのレベルのものをプリントできるというところをたくさんの方に見ていただきたいですね。ギャラリーにはわかりやすくご覧いただくためにコロタイプの説明もご用意いたします。気楽な気持ちで楽しみにいらしてください。」





―――気に入った作品があれば、ぜひ投票もしていただきたいですね。
「そうですね。例年、出展作品の中から社員と来場者の投票で優秀作品を決定し、見事受賞した人は便利堂創立記念式典(7月1日)で表彰されます。今年はこのような状況から式典は難しいですが、個々に表彰を行う予定です。参加した社員たちは「もしかして…」とどきどきしているはずですよ。」

―――その気持ち、よくわかります。最後に、今回の社員展について感じたことがあれば教えてください。
「わたしの考えなのですが、こういう状況のなかで、自分の頭に刺激を与える機会が減っている気がします。外に出られず、家にいる機会が多くて、家にいると刺激を受けることってなかなか少ないんじゃないでしょうか。そんな中、社員ワークショップで手を動かして、ああでもないこうでもないと模索することにはとても刺激を受けました。やっぱり手を動かして何かを作るのは大切な行為ですね。自分の目で見つけた一瞬に名前をつけると思いも込められる。作品を作る行為すべてに対して自分の頭を使っているなと思いました。手を動かして作品を作るというのはこんなに大切でおもしろいことなんだと思いましたね。」





社員ワークショップは社員限定のものですが、一般の方やアーティストの方でも気軽にご参加いただける便利堂コロタイプアカデミーを年に数回開催しています。様々なサイズのプリントをお試しいただけるうえ、コロタイプマイスター山本が楽しく分かりやすく教えてくれますので、ご興味のある方はぜひお問合せください!

便利堂コロタイプアカデミー www.academy.benrido-collotype.today






【開催概要】
便利堂コロタイプギャラリー夏季展「コロタイプ手刷りプリントのおもしろさ」展
2021年6月22日(火)~7月9日(金)
時間:10:00-17:00(平日12:00-13:00、土日祝日はお休み)
入場:無料
場所:便利堂コロタイプギャラリー
(京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町 302)

プロフィール

Author:takumi suzuki
【コロタイプの過去・現在・未来。創業明治20年の京都 便利堂が100年以上にわたって続けているコロタイプ工房より最新の情報をお届けします】
Japanese:www.benrido.co.jp
English:www.benrido-collotype.today

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